アフィリエイト広告の成果報酬額の決め方 〜 アフィリエイターは報酬だけでは動かない〜

アフィリエイト広告で、最も重要で、最も難しいのが「報酬設計」です。

アフィリエイト報酬額(成果報酬額)は、高額である必要があると思われがちですが、そんなケースばかりではありません。売上や利益を基準にしつつ、自社の状況に適した無理のない報酬体系でアフィリエイトを始めることができます。

支払える報酬が少ない(目安は3,000円以下)場合や売上見込み件数が見込めない商材は、継続報酬や売上インセンティブを追加するなど、自社のリスクを抑えた報酬設計もできます。

目次

「無理のない報酬」を設定する

絶対に、自社にとって無理のない報酬額(率)で設定してください。

高額な報酬を設定すれば、アフィリエイターの注目を集めやすいですが、運用コストが増えるので、赤字になったり、アフィリエイト広告をやめざるを得なくなったりします。広告の停止や報酬の引き下げは、アフィリエイターからの信頼を失います。

信頼を失うと、広告を再開する際に、協力を得られづらくなくなるので、無理のない報酬からはじめてください。

報酬には定額と定率がある

アフィリエイト広告で、アフィリエイターに支払われる報酬には、以下の2種類があります。

  • 定額報酬(サービス系でおすすめ)
     サービスの申し込み1件ごとなどに一定額を支払う方式
     例:1件申し込みにつき3,000円
  • 定率報酬(物販系でおすすめ)
     購入金額の一定割合を報酬として支払う方式
     例:購入金額の10%

いずれの報酬タイプでも、以下の持続可能な利益ベースの報酬設定例を参考に、1件あたりの成約で赤字にならない報酬設計にするのがおすすめです。

報酬設定の考え方(公式)

商品やサービスの利益を基に、成果報酬を逆算します。消費税は税率が変わる可能性がありますので、報酬を決める際は、税抜価格を基準にしてください。アフィリエイターが適格事業者番号(インボイス)を持っていない場合、支払った消費税の一部は仮払消費税にできないので、これらの点も考慮して、利益にゆとりを持たせた報酬にする必要があります。

利益の半分を目安にスタート

サービス申し込みで成約の場合、1件あたり6,000円の利益が見込むとき、アフィリエイト報酬は、その半分(3,000円)くらい。物販などで、商品購入あたり20%の利益を見込むときのアフィリエイト報酬はその半分(10%)を目安として、自社の事情にあわせて設定してください。

報酬設定の目安
  • 自社利益 6,000円(1件)
    • アフィリエイト報酬 3,000円
    • ASP利用料(30%) 900円
    • アフィリエイト広告費総額 3,900円
    • 差引利益 2,100円
  • 売上 30,000円 利益20%(6,000円)
    • アフィリエイト報酬(10%) 3,000円
    • ASP利用料(30%) 900円
    • アフィリエイト広告費総額 3,900円
    • 差引利益 2,100円

アフィリエイト報酬の他に、アフィリエイト報酬×約30%のASP利用料(アフィリエイトサービスプロバイダー)やASPの月額固定費(月3~5万円)が、一般的に必要ですので、利益の計算に組み込んでください。

弊社が運営するDairinは、ASP手数料が10%、月額固定費無料で運用できますので、ASP利用料を負担に感じる際には、導入をご検討ください。初期費用はかからず、他のASPと併用できます。

個別にアフィリエイターの報酬を増額する(特別単価)

積極的に取り組んでくれるアフィリエイターには、個別に報酬を増額するのが一般的です。こうしたアフィリエイターごとに報酬を増額することを特別単価と言います。アフィリエイターのモチベーションを高め、信頼関係を向上させるのにも有効な手段です。

広告運用をする過程で、特別単価を出していくことになりますので、広告のスタート時は、報酬の増額を見込んだ報酬設計にしておきます。

特別単価を出すケース

  • 商談につながりやすいリードを継続して獲得している
  • 特定のジャンルに強みがある
  • ターゲット層にピンポイントでリーチできる集客力がある
  • 広告主の商品やサービスに関連する特定の分野で専門性が高い
  • 商品やサービスの購入者の層に対して、強い影響力を持っている
  • 商品を利用し、その効果や使い方を具体的に紹介している
  • 読者やフォロワーとの信頼関係が強い

特別単価を出すメリット

  • 優秀なアフィリエイターが、より積極的に広告を展開
  • 継続的に成果を出してくれるアフィリエイターと長期的な協力関係
  • 同じジャンルで他社と競合している場合にアフィリエイターから優先されやすい

特別単価は計画的に

特別単価は、計画的に設定します。特別単価は短期的な費用ではなく、積極的に取り組んでくれるアフィリエイターとの信頼関係を構築し、長期的にパートナーとして一緒に取り組んでいくための投資です。 

〇件以上売ってくれたアフィリエイターは報酬〇〇円、月間〇記事書いてくれる場合には〇〇円と、条件を決めておくのもいいでしょう。

アフィリエイターが取り組んでくれないのは報酬金額が低いから?

報酬が高い方が取り組んでもらいやすい現実もありますが、無理のある報酬設計はよくありません。
報酬が低くて売れないと思ったら、自社にとってリスクなく報酬を増やす下記のような報酬設計もできます。

自社のリスクなく報酬を増やすアイデア

二段階報酬

資料請求では、まだ売上が確定していないので、あまり多くの報酬が支払えないときは、サービス利用開始など次の成約のタイミングで追加の報酬を支払う設計にすると、リスクなく報酬を増やすことができます。

少額の報酬でリードを獲得をしてもらいつつ(資料請求や無料登録)、サービス利用開始などの有料化に至った際にも報酬を支払います。

二段階報酬の設定例

アフィリエイターが受け取る報酬総額 5,500円

資料請求(報酬額例:500円)
資料請求したユーザーがサービス利用開始(報酬例:5,000円)

二段階目の「サービス利用開始」が、広告主とアフィリエイターの共通のゴールになるので、とりあえずお試しという訴求ではなく、有料化しやすい、質の高いリードになる記事を書いてもらえることになります。

アフィリエイターにとっては、資料請求でも報酬が発生することで、成果地点が近く、獲得したリードが成約に至っているか把握しやすくなり、記事をブラッシュアップしたり、追加の記事を書いたりといったモチベーションになります。

継続報酬

月額課金(サブスクリプション)のサービスで、成約時だけではなく、成約から一定期間、顧客がサービスの利用を続けている限り、アフィリエイターに継続報酬を支払う報酬設計もあります。

継続報酬活用例

アフィリエイターが受け取る報酬総額 7,000円

成約時 報酬:1,000円
継続報酬:12ヶ月:500円/月(合計 6,000円)

成約時の報酬が高額でなくても継続報酬を使うことで、利益が確保できた後にアフィリエイターに報酬を支払うことができるので、自社のリスクなく報酬総額をあげることができます。成約時に単発で報酬を支払う場合より、利益確保後に支払うほうが、キャッシュフローも悪くなりません。

「継続的な報酬が入る」というのは、アフィリエイターにとって魅力的にうつり、案件を取り組みたい理由になります。

ハイブリッド報酬

アフィリエイターのリスクを軽減しつつ、制作費と成果報酬を支払う、ハイブリット型の報酬設計があう商材もあります。レビュー記事やLP制作費、YouTube動画やブログ記事の制作費を固定報酬として支払い、成果報酬と組み合わせるといった使い方です。

ハイブリッド報酬の例

成果報酬 3,000円に加え、

記事制作報酬 1記事10,000円
バナー設置報酬 月5,000円 などを組み合わせる

アフィリエイターにとって、記事執筆と成果報酬の組み合わせは、リスクが低く、成果報酬の可能性もあるので、他の案件より積極的に請け負ってくれます。

また、一定のアクセスがあるサイトに、バナーを設置代金を月額やインプレッション数、クリック数に応じて支払い、これに成果報酬を組み合わせ、認知向上と具体的な成果の双方を担ってもらうというケースもあります。

記事執筆を依頼するアフィリエイターの心当たりがないときは、弊社が運営するアフィリエイトスクールには、アフィリエイターが大勢在籍していますので、atusまでご相談ください。公式サイトのフッターにお問い合わせフォームがございます。

二段階報酬、継続報酬、ハイブリッド報酬の機能が、お使いのASPにない場合は、Dairinの利用をご検討ください。管理画面上での設定で、これらの報酬に対応できるので、マーケティングチームだけで設定可能、エンジニアへの工数は不要です。

アフィリエイターは報酬だけでは動かない

これまで報酬設計についてお話ししてきましたが、実はアフィリエイターが積極的に取り組むかどうかは、報酬だけで決まるものではありません。アフィリエイターの心を動かす要因には、報酬以外の要素も大きく関わっています。

私たちはこれまで、2,000人以上のアフィリエイターに対面で指導を行ってきました。
アフィリエイターは「売りやすさ」を気にします。

アフィリエイターに「この商品は売れそう」と思ってもらうためのポイントやアフィリエイターが気にする要素をまとめてみました。

「この商品は売れそう」と思ってもらうには

1. 商品やサービスの魅力がわかりやすいか

  • ランディングページ(LP)において、商品やサービスの特徴やメリットが明確に説明されていますか?
  • 視覚的な要素(画像や動画)を活用して、直感的に理解できるよう工夫しましょう。

2. 料金が明確か

  • 商品やサービスの価格がわかりにくいと、ユーザーに不安を与えます。料金体系をシンプルにし、隠れたコストがないことを明示しましょう。

3. 競合との優位性が伝わるか

  • 他社商品と比較してどの部分が優れているのか、具体的に示していますか?
  • 「高品質」「低価格」などの一般的な表現だけでなく、具体的な数値や事例を提示することが効果的です。

4. 無駄な導線がないか

  • ランディングページに、アフィリエイターのコンバージョン(CV)につながらない要素がないか確認しましょう。
    • 例: 電話番号が目立っていないか。(アフィリエイターは電話番号が目立つLPの商品は避けます)
  • 購入フォームやカートのデザインがわかりやすく、スムーズに購入手続きができるようになっていますか?

成果地点の難易度は高くないですか?

アフィリエイト広告における成果地点は、以下のようなものがあります

  • 資料請求や無料登録
  • 商品購入
  • サービス利用開始

資料請求や無料登録はユーザーにとって負担が少なく、アフィリエイターが成果を出しやすい反面、広告主にとっては利益ベースでの報酬設定が難しくなるという課題があります。このギャップが両者にとってのもどかしさを生む要因となっています。

このギャップを埋めるには、二段階の報酬体系を活用することが有効です。
異なる難易度の成果地点を組み合わせて設計します。

難易度が低い成果地点(例: 資料請求や無料登録)でリードを獲得
難易度が高い成果地点(例: 商品購入やサービス利用開始)で成果を最大化
これにより、リード獲得をしつつ、より収益性の高い行動につなげることが期待できます。

広告主とアフィリエイター双方が納得できる成果地点にするために、柔軟な報酬設計を取り入れてみてください。

発生した成果が承認されないとモチベーションが下がる

アフィリエイトで発生した成果は広告主の承認を経てから確定します。承認は広告主の一存で行われるので、「成果が承認される可能性が低い」とアフィリエイターが感じると、広告主への信頼が薄れ、商品のプロモーションに対する意欲が低下します。

承認基準が厳しすぎないように、否認条件は必要最低限に絞り、アフィリエイターにとって成果地点が明確で納得できるものにすることが重要です。

承認率が低い広告主は避ける傾向がある

承認率が低い広告主をアフィリエイターは避けます。多くのASPでは、アフィリエイターが管理画面上で、各広告の承認率を確認できます。

承認率の低下は、広告主側ではどうしようもない要因もありますが、対応可能な部分については対策しましょう。

例えば、不正なトラフィックを経由した成果を否認すると承認率が下がるため、ボットトラフィックや虚偽の申し込みが確認された場合は、問題のあるアフィリエイターとの提携を解除するなど、根本的な解決を図りましょう。これにより、承認率の改善とアフィリエイターからの信頼向上につなげることができます。

アフィリエイターに商品やサービスの魅力を理解してもらう工夫

アフィリエイターと信頼関係を築いている広告主は、アフィリエイターへの情報提供やサポートを頻繁にしています。記事を書きやすくするために、提案や最新情報の共有を積極的に行っています。

今まで見てきた広告主の工夫をまとめました。

1. 定期的な情報提供

  • 料金改定の事前告知: 改定時期や背景を共有し、アフィリエイターが正確な情報を発信できるようサポート
  • 季節やイベントごとのバナー提供: アフィリエイターが利用しやすいプロモーション素材を用意して支援
  • 新商品の早期情報共有: 商品やサービスのリリース情報をいち早く共有し、記事作成の計画を立てやすくする
  • サービス変更の詳細案内: サービス内容に変更がある場合、その理由や影響を丁寧に説明

2. オンラインでの交流やサポート

信頼関係を深めるため、広告主がアフィリエイターと直接交流する機会を設けることも効果的です。

  • オンラインミーティング: 自社商品の特徴や競合との差別化ポイントを説明し、アフィリエイターの疑問に答える
  • 商品提供: 実際に商品を試してもらうことで、体験に基づいた記事作成を可能になる
  • 勉強会やオンラインセミナー: 成功事例や販売戦略を学べる場を提供し、アフィリエイターのスキル向上を支援する

3. アフィリエイターに直接情報提供(メールやSNS、チャットなど)

ASP経由でアフィリエイターに日々多くのメールが届くので、ASP経由で連絡している場合、埋もれてしまうことが多く、情報が届きにくい状態です。直接連絡を禁じているASPがほとんどですが、利用している利用規約を確認した上で、事情が許す範囲で、アフィリエイターに個別のメールやSNS、チャットなどで、直接情報提供することをおすすめします。

直接連絡を取ることで、タイムリーで効果的な情報共有が可能となり、信頼関係の構築をより強化できます。

利用規約で、直接連絡が禁じられている場合、Dairinの活用もご検討ください。Dairinは、こういった情報提供を推奨しています。

あとがき

Dairinが目指す新しいアフィリエイトの形

弊社は2014年から、対面で2,000人以上の方々にアフィリエイトの知識をお伝えしてきました。その過程で学んだのは、アフィリエイト広告において、広告主とアフィリエイターがより近い距離で協力し合うことで、双方にとって理想的な関係が築けるということです。

私たちが目指すのは、広告主が、その商品を本当に好きで心から応援してくれるアフィリエイターと出会い、利益を得られる。アフィリエイターが、自分が本当に「紹介したい」と思える商品をPRしながら、安定した収益を得て、将来に安心を持てるようになる。そんな理想の姿です。

この実現のために、私たちはDairinをリリースしました。これまでのアフィリエイトの仕組みとは違う形を目指しているからこそ、私たちは知識や経験を共有するための記事を書き続けています。この記事を通じて、アフィリエイトに関わるすべての方がより豊かな関係を築けることを願っています。

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